ソーラシェアリングについて
ソーラシェアリングとは
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、農地に簡易な支柱を立てて上部空間に太陽光パネルを設置し、農業生産と発電事業を同時に行う革新的な取り組みです。この方式では、作物の生育に必要な日射量を確保しながら、余剰の太陽光エネルギーを電力に変換することができます。
- メリット
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1.農家の収入増加:
農業収入に加えて売電収入や営農協力金が得られ、経営の安定化につながる。発電した電力を自家消費することによって、光熱費削減や農業経営の脱炭素化につながります。2.耕作放棄地の活用:
後継者不足や収益性の低下で増加している耕作放棄地の有効活用できます。3.地域脱炭素の推進:
地域内で脱炭素を進めていく上で太陽光発電の適地不足が課題となっています。農地を有効に活用することによって、地域内のエネルギーと食糧の自給率を高めることができます。4.農村地域の活性化:
ソーラーシェアリングは農業者・地権者・発電事業者・電力需要家・農作物需要家等多様な人が関わる事業です。そこから派生して多くの関係人口が農村を訪れることで新たな雇用創出や地域経済の活性化につながります。5.農業の気候変動適用(Climate Adaptation):
気候変動の影響で高温障害など農作物への影響が出てきています。ソーラーシェアリングから生み出される適度な影が農作物の気候変動適用としての効果が出てきています。
一般的なメガソーラーとの違い
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1.土地利用:
既に開発された農地を使用するために新たな土地開発の必要がありません。2.環境への影響:
メガソーラーと違い大規模な土地造成を行うことはほとんどなく、周辺の環境や生態系への影響を比較的小さくできます。3.地域との共生:
地域性が高い産業である農業を伴う事業なので、地域の方々と顔の見える関係性が必要になります。そのため初期段階から地域の方々に理解をいただき事業を進めるために、必然的に地域と共生をしていくことになります。
農水省の制度
2013年3月31日、農林水産省は「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」という通達を発表し、ソーラーシェアリングの導入条件を明確化しました。
主な条件は、農作物の収量維持のための営農計画や農業機械が効率的に利用できる空間を確保するための設計ですが、詳細は農林水産省のホームページをご参照ください
導入件数
ソーラーシェアリングの導入は着実に増加しており、令和4年度末時点の営農型発電設備の設置に係る農地の一時転用許可実績は5,351件となっています。令和4年度末時点では富山県を除く全ての都道府県で一時転用許可が出ています。詳細は農林水産省のホームページをご参照ください。
世界的な潮流
海外ではヨーロッパにおいてはドイツ・フランス・イタリア・スペイン等、アメリカ合衆国においてはアリゾナ州・コロラド州の研究機関ならびに民間企業が研究開発と実用化を進めています。アジアにおいてはインドにおいてIndia Agrivoltaics Allianceが発足して、広い国土において適したシステムの開発を先導しています。韓国においても農地の一時転用の期間が延長されるなど普及拡大に向けた政策が打ち出されています。東南アジアにおいては、ドイツの研究機関FraunhoferがGIZ等と共同で実証実験を開始を検討しています。
アメリカの砂漠地区、インド、東南アジアにおいては、ソーラーシェアリングの影が気候変動に対する「適用」としてポジティブに捉えられている側面が多く。
国際会議である「AgriVoltaics World Conference」も2020年から毎年開催されており、2023年は韓国、2024年はアメリカコロラド州、2025年はドイツのフライブルクで開催予定です。2026年は日本への誘致を進めています。詳細は下記の各団体のホームページをご参照ください。
・Fraunhofer:https://www.ise.fraunhofer.de/en/business-areas/solar-power-plants-and-integrated-photovoltaics/integrated-photovoltaics/agrivoltaics.html
・GIZ:https://www.giz.de/en/worldwide/119869.html ・India Agrivoltaics Alliance:https://indiaagripv.org/
・AgriVoltaics World Conference:https://www.agrivoltaics-conference.org/
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